旦那様は社長

「じゃあ手を出せば？あたしは大歓迎なんだけど」


「……なんで立場逆転してんだ」


「そっちのせいだから」


社長はきちんと彼女との問題が片付くまで、あたしを抱かないと言った。


それがあたしへの精一杯の愛情表現だと。


でもあたしはただでさえも不安で一杯で、いつもそれに押しつぶされそうになる。


だから早く、社長に全部のあたしを抱きしめてほしいのに……。



「光姫……」


「……不安なの、あたし。いつまで今の幸せが続くんだろうって」


涙の理由なんて、とっくに伝わってしまっていると思うけれど。


この涙のせいで社長に自分自身を責めてほしくなくて、社長の身体を引き寄せて顔を沈めた。