旦那様は社長
どうして黙るの?
どうしてすぐに否定してくれないの?
早くあたしを安心させてくれる言葉が欲しい。
「ねぇ、あたし、あなたを信じていいの?今ね、もう……頭の中グチャグチャで……何を信じたらいいのか分からない」
社長のことを信じたいと思ってる。
だけど、彼女の話を聞いて揺らぎ始めてしまった。
《あと3日。……3日で日本に帰れる。そうしたら全て話すから。オレが今何を確かめようとしているのかも。……だから、それまで待っててくれないか?》
「もう待てない」
《光姫、頼むから……》
「無理だよ。……ごめんね」
あたしはそこで電話を切った。
その後も何度も電話がかかってきたけれど、あたしは逃げてしまったんだ。
「否定、してくれなかったな」
社長が何をしようとしているのかは分からない。
だけど、大河くんが悠河の子供だという疑惑を、すぐに否定してくれなかった。
それは、本当の子供かもしれないという可能性があるから。
「早く……早く帰ってきて……社長」
あたしはそのまま泣き疲れて眠ってしまっていた。