旦那様は社長
あたしはちょっとだけ恥ずかしくなって、社長の胸に顔をうずめた。
社長はそんなあたしを更に抱き寄せて言う。
「お前、いきなり誘う気か。どうしてくれんだよ、その気になっちまったじゃねーか」
「……いいよ?押し倒しても」
少しだけ潤んだ瞳で社長を見上げた。
社長がこの目に弱いことを、あたしは知っているから。
これがズルイあたしの精一杯の抵抗。
「オレだってできることならそうしたい。もう理性だって正直限界だ。でも……」
「隠し子がいることが後ろめたいの?」
自分でもストレートすぎる質問だと思った。
こんなこと言うつもりもなかった。
だけどもう、あたしの心も本当に限界なんだ。