旦那様は社長

「光姫。そのことだけど……」

「……」

「お前に何もかも話すよ。友里のことも、大河のことも」


望んでいたことだけれど、告げられる真実が怖い。


もうこうして寄り添っていられなくなるかもしれない。


それが何よりも一番怖い。


「心配するな。オレたちは何も変わらないから」


あたしの不安を汲み取ってか、社長はあたしを両腕でしっかり抱き、

「友里から聞いたかもしれないが……」

ポツリポツリと話し始めた。


「オレは昔、色んな女と遊びまくっててさ。友里もその1人だった。オレの金や地位にいろんな女が面白いくらいに群がってきてさ。だけどオレはそれがイヤで、どの女ともその場限りの関係だった」


今の社長からは想像もできない過去だ。


「友里さんは?」


「友里は従順なタイプで、他の女と違って控えめで。だから居心地がよかったんだな。彼女との関係は2年も続いた。でもそれが自信になったのか、彼女は突然変わった。結婚を迫るようになって……。そんな彼女がめんどくさくなって、けっきょく友里との関係も断った」


「じゃあどうして……」


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