旦那様は社長
「……大丈夫だ。そんなことは絶対ないから」
「どうして分かるの?」
「大河の生まれた日から逆算すると、少しズレがあるんだ」
「ズレ?」
「あぁ。オレと友里の関係が終わった頃から、少しズレがある。それを友里に聞くと、いつもはぐらかされた気がしてた」
どこか遠い目をする社長。
いくらでも追求しようと思えばできる立場にあるのに、それをしなかったのはきっと……。
昔やんちゃをしていた時代に、恐らく傷つけてしまったであろう彼女への償い。
『あなたの子よ』
そう言った彼女のプライドを傷つけないように。
喜ぶことではないけれど、今の社長が、無責任に責任を放棄する人じゃなくてよかった。