旦那様は社長

ワガママだってもっと言ってほしい。


だけど光姫は何も望まない。


何か欲しいものはないのかと聞いても、返ってくる言葉はいつも同じ。


「今のこの時間がずっと続けばそれでいい」


その言葉に込められた意味をオレはまったく気づかずに……。


光姫が望むならオレはどんな願いだって叶えてやりたい。


他の全てを失っても、光姫がいればそれで構わないとも思う。


光姫といることだけが、今のオレの全てだから。


「分かってんのか?あいつは……」



寝室の扉を静かに開けた。


「光姫?いるんだろ?」


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