旦那様は社長

やっぱり大河くんは、社長の子供だったのかな。


だから社長は迎えに来ないのかもしれない……。


もうあたし、二度と社長に会えない?


そう考えただけで目頭が熱くなって、ジワッと涙で視界が滲んだ。


「……会いたい…ッ……」


もう一度、社長の笑った顔が見たい。



その時、遠くでサクッと草を踏む足音が聞こえた気がした。


『社長が来てくれた!!』


この一週間、何度同じことを思って振り返っただろう。


そして、何度肩を落としただろう。


きっと今日も……


繰り返すんだ。


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