旦那様は社長

「そんな高カロリーな食べ物を毎日口にするなんて……、身体に毒ですッ!」

「お前……」

「なんですか」


違う世界で生きてきたあたしたち。


最初から価値観も何もかも違いすぎだということは分かっていた。


だけどあたしは、“何とかなるだろう”なんて簡単に考えすぎていたことに、今頃になって気付いたのだ。


既にもう、この先社長と一緒に暮らしていけるのか不安……。


そんなあたしと相反して、社長は無邪気なものだった。


「お前、若いくせに所帯じみてんなぁ」


なんて真顔で言う。


「なッ!?どういう意味よ、それッ!!」


タイミングよく35階に着いたエレベーターが開き、

「ここ、会社なんだけど?」

社長はバカにしたように笑って、さっさとエレベーターから下りて行く。


『……ッ、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーッ!!!!(心の叫び)』


エレベーターの中で、抑えきれない怒りを鎮めようと身体を震わすあたしを1人残して。


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