旦那様は社長

「一筋ねぇ……」


「何か言ったか?」


前を歩く社長があたしの呟きに反応を示した。


「いえ、何も」


もしかして、噂通り週末は……その大切な相手と一緒に過ごしているのかも!?


週末は必ず朝早くから出かける社長。


帰りだって遅い。


……やっぱり隠れて会っているのかもしれない。


一度気になり始めたら、とことん調べないと気が済まない性分のあたし。


社長室の扉を開ける社長の背中をジッと見つめながら、今週末必ず尾行しようと決めた。


誰と何をしているのか知りたくなってしまった。




でもその先にあるのは、開けてはいけないパンドラの箱だった。


あたしはその箱に……


自ら手をかけてしまったのだ。


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