旦那様は社長
「……ホント疲れる」
「えー?贅沢だよそんなの‼」
ランチタイム。
同期の彩と会社近くのカフェに来ていた。
やっとあのセクハラ社長から解放されて、心身ともにリラックスできる唯一の至福の時。
あの調子で、最近は顔を合わせると毎日のようにセクハラしてくるし。
あたしは気を抜けずに、常にあちこちにセクハラアンテナを立てていた。
「だってホントに疲れるんだからー。……もう神経マヒしそう」
グタッと身体をテーブルに倒してみせた。
「もうッ、光姫は幸せなんだよ?恵まれてんだよ?あんなイケメン紳士な社長の専属秘書なんて……、全女子社員の憧れのポジションじゃない‼」
「……」
「そんな奇跡をありがたがらないなんて、バチ当たるわよ!?」
そんな目をキラキラさせて言われても……。
皆あの甘いマスク(外面だけ)に騙されてるだけなのに‼
って、あたしもまんまと騙されてたんだけど。