【探偵ピート・ジャンセン】



ターニャは自分の名前を
告げるのが精一杯で、
彼女達の顔を穏やかな
微笑みをたたえて見ている
だけだった。


『そんなに緊張しなくても
大丈夫よ。
私達、チアリーディング
やってるんだけど。
良かったら貴女も一緒に
やらない?』


『有難う‥。
でも‥、遠慮しておくわ。
運動は苦手なの‥。』


そう言うとターニャは
素っ気なく立ち去った。


これがターニャとサラの
最初の出会いだった。


まるで何処かの国の王女様
の様に微笑むだけの
口数の少ないターニャに
チームメイト達はあまり
良い顔をしなかった。

『何あれ?
お高く止まっちゃってさ‥。』


『ジャッキー?
話すのが苦手なのよ、
きっと‥。
今日はこれで解散しましょ。』


サラはジャクリーンの
言葉を制すると、独り
フィールドを後にした。


ターニャは初めて声を
掛けてくれたサラが
益々気に入ってフィールドを
出て、独り歩くサラに
思い切って近付いてみた。


『貴女の家‥こっちなの?』


背後から音も無く近付いて
声を掛けられたサラは
一瞬驚いた顔を見せたが

それがターニャだと判ると
直ぐにさっきの輝く様な
笑顔に戻った。



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