【探偵ピート・ジャンセン】


人間の心を持ったまま
ヴァンパイアとして蘇った
彼女の苦悩を聞き、

私はこの先、惜しみ無く
彼女の力になろうと決めた。


それがどんなに危険な事で
あっても‥。


『ターニャ、
明日の朝一番にロンドン
市警に行ってみよう。

ここ最近の行方不明者の多い
地区のリストを辿れば彼等の
足取りに繋がるかも
しれない。
…今日はもう遅い。
詳しい話しは明日だ。
ゆっくり休むと良い。

隣の部屋に居る。
何かあったら呼んでくれ。
それじゃあ…。』



『ピート‥。ありがとう‥。
おやすみなさい。』


私は彼女の部屋を後にした。



翌日、我々は市警に向かった。


彼女が消息不明となった
友人を捜しており、
私は捜索を依頼された
探偵である旨をそのまま伝え、

近辺の行方不明者のリストを
見せて貰う事に成功した。

ターニャが血液バンクの場所を
調べていた地図に、

行方不明者のアドレスを
マーカーで印付けて行く。


思った通りだ。


どうやら推測通り、不明者の
多くは、血液バンクを中心に
半径15ブロックに集中
している。


恐らくは殆どが彼等に
捕食された犠牲者だろう…。

警察では死体が挙がらない
限り、行方不明者としてしか
取り沙汰出来ない。


まさかヴァンパイアが

多発する消息不明者の
原因であるとは思うまい。



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