【探偵ピート・ジャンセン】



写真のサラと実際に目にした
サラは、もはや別人の様で
あった。

もうあの写真の様な輝きは
彼女に残されてはいなかった。

我々が彼等の棲み家に
立ち入ったのは昼間だった。


棺桶か何かで眠っているの
かと思えば、特殊な金属に
アクリル樹脂で出来た透明な
蓋が付いたカプセルの中で
二人は眠っていた。

どうやら蓋にはUV加工が
施されているらしい。

ヴァンパイアと言うよりは
“スペース何とか”と言った
感じだ。

私は一つだけ、ある実験を
試みるつもりでいた。

サラの棺の蓋を開け、
彼女の爪の先にボルドーワイン
を染み込ませた綿棒で軽く
触れてみる。

すると、サラの爪から
ジュッと白い煙りが挙がり、
焼ける様な匂いがした。

私は急いで蓋を閉め、
ターニャと共に
棲み家から逃げ去った。


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