【探偵ピート・ジャンセン】
私は彼女を室内に招き入れ、
来客用の椅子に案内すると
デスクの上に散乱した
書類を傍らに押し退け、
とりあえず組み合わせた
肘から上の手を置ける
スペースを設け、彼女の方へ
向き直った。
これは依頼者の話を
真剣に聞き入れる事を
アピールする、
安心させる為に行う
ジェスチャーでもあり、
癖でもあった。
『ご依頼の内容は
どの様な事ですか?』
『この写真の前列左から
3番目の女性を捜して
欲しいんです‥。』
彼女がおもむろに持っていた
ハンドバッグから一枚の
古ぼけた写真を取り出し、
私の方へ差し出した。
『この方のお名前は?』
『サラ…。
サラ・ポートマンよ‥。』
写真の女性は往年の
ピンナップガールを
想わせる様な笑顔で
ひときわ輝きを放っていた。
『それで、彼女と貴女は‥
どう言ったご関係なんです?』
『彼女は私の親友でもあり、
ライバルでもあったわ。』
『…と仰いますと?』
『私は彼女がまだ赤ん坊
だった頃から彼女を
知っていたわ‥。
彼女が成長して
カレッジに通う頃
初めて彼女に声を
掛けられたのよ…。
私達は直ぐに打ち解けて‥ 』
『ちょ、ちょっと待って
下さい。
この写真は1953年に撮影された
ものの様ですが…。
合成などでなければ…。』
20代の女性と70代の女性に
交流がある…
そこまでは何も可笑しな事
ではない。
問題は、その先だ!