【探偵ピート・ジャンセン】
出品された娘を見て眼を
ギラギラ輝かせ、喉をゴクリと
鳴らす者、
ニヤリとして牙を剥き出し、
蛇の様にシューっと音を
たてる者‥
そこでは想った通りの光景が
繰り広げられていた。
世界各国から健康で美しい
人間を拐って来ては
ヴァンパイアを対象に
オークションを開いて
いるのだ。
オークショナーはどうやら
人間の様だった。
ヴァンパイアを相手に
商売をするとは!
何とも‥
商品となる人間を提供する
ことにより、自分達が襲われる
心配は無いらしい。
通貨はドルやユーロの他、
ルーマニア通貨のレイでも
取引されている。
一人のヴァンパイアが試飲
させろと、せがんでいる‥
オークショナーの男は辺りの
光景に怯え、小刻みに震える
娘の透き通る様に白く
しなやかな腕にナイフで
傷をつけると滴る血を
クリスタルのグラスに数滴
搾り出し、前列のヴァンパイア
に差し出した。
娘は自分の腕から流れる鮮血と
あまりの恐ろしさにステージ
上で気を失ってしまった。
グラスを受け取った
ヴァンパイアは、
それを口元へ運ぶと一気に
飲み干し、
その甘美な味に酔いしれて
いる。