【探偵ピート・ジャンセン】
マアレイは、彼等を
「種族としての誇りを汚す
愚か者達だ。」と
常々、言っていたらしい。
僕(しもべ)から糧を譲り
請ける姿が許せなかったのだ。
古い志向を笑う比較的若い
ヴァンパイアと、
古きを重んじる保守派の
ヴァンパイア達の間で
一触即発の状態が続いている
らしい‥
ターニャはある程度の情報を
掴むと、車中に残して来た
ピートの事が気になっていた。
見付かれば、一辺に邪悪な
人間とヴァンパイアを相手に
する事になる‥
流石に自分も此処に居る全ての
者達と戦える自信は無い。
当然ながら化粧直しに
レストルームに立つ訳にも
いかない。
身動き出来ぬまま、ただじっと
その場に止まるより他
なかった。