【探偵ピート・ジャンセン】


一方、
ピートは、エンジンを切り、
凍える寒さの車中でターニャ
を待ちながら今、17本目の
煙草に火を着けていた。

既にコーヒーも5杯目で、
舌はザラつき、いつ見付かる
やも知れぬと言う緊張で、

さっきから倉庫の扉と銃を
忍ばせたダッシュボードの辺り
を交互に見ている。


彼の脳内では非常事態に備えて
の戦闘シュミレーションが、
繰り返し行われているのだ。


最終オークションを終え、
落札したヴァンパイア達が
受け渡し所へと向かう‥

席に着いている二人の
ヴァンパイアがターニャの方
を見ながら何やらヒソヒソと
話をしている‥


終始オークションに参加せず、
じっとしているターニャを
不審に思っていたのだ。


囁きの範囲が徐々に広がって
ゆく‥


このままでは保守派の偵察とも
思われ兼ねない。


ターニャの視線が彼等の動きを
ゆっくりと追っている…


ターニャに緊張が走る…


ターニャは意を決すると
努めてヴァンパイアらしく
振る舞った。



< 54 / 97 >

この作品をシェア

pagetop