【探偵ピート・ジャンセン】
『た、た、助けてくれぇ!』
ステージ上のオークショナーは
既に場内に居るヴァンパイア達
に取り囲まれていた。
震えながら声にならない声で、
袖に居る 仲間の男に後ろ手に
合図を送り、救いを求めて
いる‥
袖に居た男は腰を抜かしつつも
どうにか一つのスイッチのある
場所に辿り着き、押す事が
出来た。
男がスイッチを入れた途端に
薄暗い室内が突然、太陽光を
想わせるライトの強烈な光で
満たされて行った。
ヴァンパイア達は眼に突き
刺さる様な陽射しに似た
眩しさに怯み、
その場から飛び退くと、手で
光を遮ろうと必死になって
いる‥
『フッ‥馬鹿め!
灯りの下じゃ何にも出来ねぇ‥
お前達の様な化け物はこうして
くれるわ!
焼かれてしまえ!!!』
さっきまで震えていた
オークショナーが、勝ち誇った
様にヴァンパイア達に言い
放った。
急激な明るさに、一瞬ターニャ
も眼が眩んだが、
彼女は素早く囚われの身の
麻袋に詰められた人々を解放
していった。
『ほら!起きて!
逃げるのよ!
さあ!早く!!
言葉は解る?
逃げるのよ‥急いで!』
気を失っている者の頬を
叩きながら出口の方へと
誘導した。