【探偵ピート・ジャンセン】
ヴァンパイア達は
光を恐れたまま
光の当たった部分は
ケロイド状になり、
一斉に金切り声をあげながら
身動き出来ずにいる‥
『クラウス!!!
人間どもを・・・』
何者かの叫び声が
背後で響いた‥
この混乱の隙を見て
ターニャは出口へと
向かった。
混乱のお陰で時間が
長引き、実際に外は
もうすぐ朝を迎えようと
していた。
どちらにしても倉庫内の
ヴァンパイア達は、
此処で再び夜が来るのを
待つか、外へ飛び出し、
昇る朝日に焼かれるしか
無いのだ。
倉庫内で銃声と悲鳴が
轟く‥
邪悪な人間達が
ヴァンパイアに向けて
発砲しているのだ。
『 無駄なことを‥。 』
ターニャはそう呟くと
ピートの待つレンタカーへと
急いだ。
銃声を聴いてピートは
遂に先ほどから頭の中で
繰り返されていた
シュミレーション通り
ダッシュボードから
銃を取り出した。
窓を叩く者に慌てて
照準を合わせる‥
『 ピート、私よ!
冗談はやめて!
此処を開けて直ぐに
車を出して頂戴!
急いで!!! 』
銃口の先にはターニャがいた。
慌ててドアのロックを
解除し、
ターニャの氷の様に
冷たい腕を引き寄せ、
助手席に乗せた。