【探偵ピート・ジャンセン】
真夜中から明け方まで
夜徹し寒い車中で
過ごしていたのと、
これまでに無い緊張の
せいでピートは今頃になって
激しい睡魔に襲われていた。
もうじき昼になる。
兎に角眠い‥
『ターニャ、悪いが
少し眠らせてくれ‥』
目頭を押さえ、軽く左右に
頭を振り、一気に押し寄せる
疲労感を拭おうとしていた。
『そうね、暫く眠ると
いいわ‥。
今夜は出歩かずに部屋で
過ごすわ‥』
ピートはまるで
KO負けのボクサーの如く
別室のベッドにうつ伏せに
倒れ込んだ。
ターニャはフォーマルに
纏め上げていた髪をほどき、
パンツスタイルに着替えると
靴を履いたまま豪快な
イビキをかいて眠る
ピートの背中に
ブランケットを掛け、
部屋を後にした。