【探偵ピート・ジャンセン】
ターニャは地図を片手に
この季節には珍しい
陽射しの下を独り歩く‥
血液バンクの場所と
行方不明者のアドレス
サラ達の棲み家、
そしてあの倉庫の場所に
印された点を線で結び
囲ってみる‥
ターニャは先ほど
車で戻って来た倉庫からの
道を引き返していた。
喧騒に紛れ、道行く人々には
わからない速さで‥
暫くすると
郊外にポツンと建つ
倉庫の前に辿り着いた。
今朝の悲鳴や銃声が
嘘の様に静まり返っている。
中に入ってみようか‥
しかし、中にはおぞましい
光景が広がっているだろう‥
もしも、生き残った
ヴァンパイアが居れば
戦闘になるかも知れない。
閉ざされた扉の前で
躊躇していると、
突然、目の前の扉が
乱暴に開かれた。
恐る恐る中を覗くが
姿は見えない‥
暗がりの倉庫内は
想った通りの地獄絵と
化していた。
ターニャはそこに
誰かが居ると確信した。
『居るなら、
出て来たらどう‥?』
暗がりの隅の方に僅かに
動く人影が見えた。