【探偵ピート・ジャンセン】
『‥頑固なお嬢さんだ‥。
私にも依頼人を護ると言う
義務があるんだ!
‥こんなところに依頼人を
放り出して帰ってみろ‥
この先‥、
俺が俺を赦せなくなる‥。
君がどうしても行くと
言うのなら‥
私も一緒に行こう‥。
報酬?
そんなものは当てに
してないよ‥。
その代わり、もう少し
ちゃんと準備を調えてからだ。
いいね‥?
夜の外出は遠分禁止だぞ。』
ピートはまるで
娘を諭す父親の様に
ターニャに言って聞かせた。
『貴方を危険な目に遭わせる
訳にはいかないわ!
貴方には待っている
女(ひと)がいるんでしょ?
彼女を悲しませる訳には
いかないわ!
この女(ひと)を私みたいに
させる訳には…』
ターニャがテーブルの上の
ロケットを掴み、ピートの
目の前に突きつけた。
『これ、貴方のでしょ?
なぜ話してくれなかったの?
話してくれれば、こんな所まで
貴方を連れては来な…』
『彼女は死んだ!
もう居ない。
死んだんだ!』
『・・・どう言うこと?』
『私を待っているひとなど
今はもう居ない…
6年前に彼女は私の目の前で
死んだんだ!!』