【探偵ピート・ジャンセン】
『事件を起こしたのは数人の
少年のグループだった。
無線で連絡が入り、私も
現場に急行した。
まさか、リタが人質になって
いるなんて思いもしなかった…。
現場は既に複数の警官で
包囲されていた。
後で知った事だが、彼女は
自分が人質になる事で他の人質
となっていた人々を解放する
ように少年達に交渉していた
らしい。
条件を呑んだリーダー格の
少年が、リタ以外の人質を
解放しようとした時、
所持していた少年の銃が
粗悪品だったんだろう、
銃が暴発して、それを発砲した
と思い込んだ警官が踏み込もう
として、少年に発砲した。
それを境に激しい銃撃戦が
始まった。
その時、割れたガラス越しに
リタが…
彼女が中に居ると
気が付いたんだ。
私は銃撃を止める様に
叫んだが、銃声にかき消され
声は届かなかった。
彼女も必死に止めようと
していた様だった。
私が警官の波を掻き分け、
前列に向かった時だった。
少年のひとりが最前列に
辿り着いた私に向けて
発砲しようとしていた。
それを…止めようとして…
彼女が…少年の腕を掴んだ…』
ピートは辛い記憶を封印する
様に瞳を閉じた。