【探偵ピート・ジャンセン】
『‥それは違う。
サラは私について行くと
言ったのだ。
確かに最初はサラを獲物として
狙っていた。
だが、どういう訳か、サラの方
から、私が何者でも良いから
ついて行くと言って懇願
したのだ。
だから望み通り、永遠の命を
与えてやったまでだ。』
サイバスはカプセルから
出ると、視線をターニャから
逸らす事無く
辺りをゆっくりと歩き回り
ながら続けた。
『あの時、私は君が
ヴァンパイアである事を
悟った。
そして、サラは既に君の
僕(しもべ)だと思って
いたのだ。
僕(しもべ)に手を出す事
則ち決闘の申し出だが
君の様な女に挑むほど私は
卑劣な男ではない。
あくまでサラが僕(しもべ)
となる事を望んだに過ぎない
のだ。』
胸元で手の爪先を2~3度
磨き、サイバスはまじまじと
己の指先を眺めている。
サラは尚、笑い続けていたが‥
『ターニャ、私からサイバス様
を奪わないで~。
ハハ ハハハハハハハ‥』
『お願いよ!
サラの意識を解放して
ちょうだい!』
ターニャはこれ以上
サラの変わり果てた姿を
見ているのが辛く耐えられ
なかった。