【探偵ピート・ジャンセン】
そう叫ぶとピートは
震える手で再びサラに
紫外線照射器の光を
向けた。
『ターニャ、下がれ!』
ターニャが素早く身を引く‥
尚も襲いかかろうと手を
伸ばすサラの胸にワイン弾が
撃ち込まれた。
サラの白いドレスの胸に
真紅の薔薇が広がり始める‥
そこから、ぼぅっと
生まれた炎が、瞬く間に
広がり、サラを包んで
いった。
『AHhhhhhh!!』
炎上したサラの最期の
断末魔の叫びが延々と
ターニャの耳にまとわりつく‥
激しい断末魔の叫びに
耐えきれず、ターニャは
耳を塞ぎ、同時に哀しみの
叫び声を挙げていた。
サイバスは今、目にした
死への恐怖に怯え、
窓を蹴破り、漆黒の夜の
闇の中へその姿を完全に
隠した。
ピートは、その場に起きた
恐ろしい光景に、ターニャを
護るべく思いに駆られるも、
立ちすくみ、意に反した
震えを止めることが
出来ずにいた。
ターニャは哀しみを
怒りに代え、サイバスが
蹴破った窓から飛び出し
彼の後を追った。
ピートの目には判らぬ
速さでサイバスを追う。