【探偵ピート・ジャンセン】
ピートは二人の姿を
目で追うも
二人が触れた樹木の
不自然で僅かな揺れによって
動きが判る程度で、
どちらがどちらの葉陰に
潜んでいるのか見当も
つかなかった。
震える手を叱りつけ、
ピートは再び草木が
揺れる方へ紫外線照射器の
光を当ててみた。
サイバスならば光に
反応するだろう‥
必死に光は影を追い続けた。
影は光を恐る‥
サイバスであろうか?
影は光を巧みにかわし
気が付くとピートの
目前まで迫っていた。
『悪いな‥チェック
メイトだ!』
ニヤリと笑う顔がそこに
あった。
肩を強く掴まれたあたりで
それが紛れもなく
サイバスである事が
ピートにもはっきりと
判った。
咄嗟に右手の銃の
銃爪を引く‥
弾丸はサイバスの左腕を
吹き飛ばし、炎上させた。
ギャア!と悲鳴を挙げながら
飛び退いたサイバスの体に
別の影が横切る‥
『ターニャ!駄目だ!
離れろ!!!』
ピートの放った二発目の
弾丸がサイバスの体を砕いた。
サイバスの欠片は尚、
道連れにしようと、
飛び退いたターニャの
腕を掴んでいた。
炎上したサイバスの右腕が
彼女の腕を掴んだまま
ターニャの身に炎が移り、
彼女の腕と脇腹を焦がした。
地獄の業火の様な炎に
ターニャは耐えきれず
叫びをあげた。