【探偵ピート・ジャンセン】


目の前にはクラウスが
立っていた。


『こんなところで逢えるとは‥

どうした?酷い傷だな‥。

動けないのか?

フッ‥、やはりお前は

私に取り込まれる為に
生まれて来たのだな‥』


『ターニャ!!』


ピートが叫ぶと同時に
ターニャに血液パックを投げて
渡そうとした。


しかし、それは緩やかな
弧を描き、クラウスの手中に
落ちてしまった。


『フッ‥こんなモノを飲んで
いるのか?

レトルトは体に悪いぞ

まぁ、もうすぐその心配も
無くなるがな!』


クラウスは血液パックを
遥か遠くに投げ飛ばし、
今にもターニャに襲いかかろう
としていた。


慌ててピートは紫外線照射器を
クラウスに向けた。


やはり光を恐れるクラウスは
瞬時にその場から光の及ばぬ
方へと身を隠す。


ピートはクラウスの行く手を
光で追いながら、ターニャの
元へ駆け寄った。


光と銃口でクラウスの
影を追う‥


ターニャの喉の渇きは既に
限界を迎えようとしていた。


ピートの鼓動と血流が
離れていても判るくらいに
なっている。


『ピート‥

私から‥離れて‥。

側に居ては‥いけない‥。』


弱々しい声でターニャが
呟いた。



< 92 / 97 >

この作品をシェア

pagetop