【探偵ピート・ジャンセン】


『君を護ると言った筈だ!

しっかりしろ!

一緒にジャクソンビルへ
帰るんだ!

こんな所でくたばって
られるか!

約束しただろ?』


『私なら…大丈夫よ…
永く…生き過ぎたわ…。
サラも…居ない…。
もう…充分よ…。

貴方は…生き…て…』


微笑みながら弱々しく呟く

『冗談じゃない…!
後悔するのはもう
たくさんだ!』

ピートが噛み締める様に
呟いた。


彼女の姿を見て
ピートは遂にある一つの
決断を下した。










『ターニャ‥。


私の血を飲め!』










『ピート、何を言ってるの‥
こんな時に冗談はやめて‥』


『冗談なんかじゃない。

助かる方法はそれしか
無いんだ!

私の血を‥早く!』


『出来ない‥わ‥。』


『いいから早く!!!』


ターニャは顔を背け、頑なに
拒んでいたが、


ピートがクラウスを
銃で追いつつ、片腕に
ターニャを抱き、

その首筋をターニャの
柔らかな唇に押し当てた。


トクトクと動脈を流れる
温かな血流がターニャの
唇に伝わって来る…


遂に己の極限に達した
ターニャは、我を忘れ

ピートの首筋にそっと
牙を立てていった。



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