幼なじみ
「あ...」
何気なく顔を上げたときに
ドアから入ってきた男子と
目が合ってしまった。
斉藤 潤、私の幼なじみ。
母親同士が大親友で
小さい頃は毎日二人で
遊んでいた記憶がある。
『あたしねー、
潤くんのねー、
およめさんになるの!!』
『ぼくがねー、
ほのちゃんをねー、
守ってあげるんだ!!』
この間家で見たビデオに
こんなやりとりをしながら
手をつないでいる二人が
映っていた。
あんな幼い頃の夢なんて
もう忘れてるんだろうな。
そう思ったら
今でも覚えている自分が
情けなくなった。