楽園まで行けたなら

クラス分けで偶然にも同じクラスになった夏帆をおれは口説きに口説いて、写真部に入部して、高校時代の3年間を一緒にすごした。

そしておれたちは、2人でおれだけの恋だったものを、愛へと変えた。
変えた、はずだ。


おれは、夏帆が好きだった。

その可愛い大きな瞳も、色素の薄い髪の毛も。まるで人形のように整った、きれい過ぎる顔立ちも。
にもかかわらず、その顔を盛大に崩して笑う、馬鹿みたいに無邪気な笑顔も。
何もかも好きだった。

けれど、彼女は、おれなんかの何を、いったい好きになってくれたんだろう?

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