楽園まで行けたなら
おれはどうしてもそれが分からなくて、はじめの頃は、良くそれを夏帆に尋ねた。
そのたび夏帆は、そっと目を伏せて、ほんの少し、いつもより硬い声で「なんでそんなこと聞くの?」とそう言って。そうとしか言ってくれなくて。
答えが気になってしょうがなかったまだ子どもだったおれは、夏帆とよく喧嘩した。
何年経ってもはっきりとした答えを彼女から聞くことは出来なかったけれど、きっとおれの横で笑ってくれる彼女は幸せなのだろうなと、そう思うことにして、おれは彼女と歩み続けた。