楽園まで行けたなら

あたしはなんとなく、誰が来たのかが気になって、でもゆうとのことをだますみたいなことは、したくなくて。
そっと、リビングの扉に耳をくっつけた。


ぼそぼそと話し声が聞こえて、けれど中身まではさっぱり分からなかった。

もう少し聞こえないかなと思って、耳を集中させたところで、「うるさい!」と怒鳴る、ゆうとの声が聞こえて。


その声は、怒っているというよりも、泣いてるように聞こえた。
こころが、叫んでるみたいで、なんだか。


この世の終わりみたいだった。


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