楽園まで行けたなら

その人の声であたしのことに気がついたゆうとが振り向いた。

勝手に出てきちゃって怒られるかなと思ったけれど、それでもあたしはゆうとが心配だった。


ゆうとは怒らなかった。と言うか、いつだって優しいゆうとは、あたしに声を荒げてことなんて、なかったんだけど。


縋るように、ゆうとはあたしに手を伸ばした。




「夏帆。かほ、かほ。なぁ、夏帆。夏帆はずっと、おれの傍に、居るんだよね?」





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