楽園まで行けたなら

気がついたら、ぱたんと玄関のドアは閉められていて、男の人は出て行ってしまったみたいだった。

それでもゆうとは腕の力を抜こうとは一切しなくて、あたしもずっと、ゆうとを抱きしめていた。

ずっと、ずっと。

あたしが、ゆうとを幸せにしてあげるんだから。


「夏帆、愛してる」


そう囁いた、ゆうとの声は今にも壊れてしまいそうなほど、きれいだった。




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