楽園まで行けたなら


おれも夏帆も、まだ本当に子どもで、制服を着ていた頃、夏帆の笑顔はもっと生き生きとしていて、大口を開けてぎゅっと目を瞑ったくしゃくしゃのものだった。

色気もへったくれもない豪快なそれが、おれはたまらなく好きで。ここ1、2年いつのまにか当たり前になった大人びた夏帆の笑みも決して嫌いではなかったのだけれど。


ただ、なんとなく。時の流れを寂しく思った。




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