幼なじみのキス
ピンポーン――――。
いつも遊びに行くみたいにインターホンを押る。
でも、今日は遊びに来たんじゃなくて・・・・住みに来た。
な・・・なんかおかしい。
「はぁ~~~い♪」
そう言って出てきたのは美香ちゃんママ。
「こんにちわー。えっとー・・・住みに来ました・・・。」
日本語としておかしいでしょーよ・・・。
「宏ちゃんから聞いてるわっ!!どーぞどーぞ、中に入って!!」
宏ちゃんとは、ママの事。
本名は、桜木 宏美(さくらぎ ひろみ)。
「武くんも大変ねぇー。」
武くんとは、あたしのパパ。
本名は、桜木 武彦(さくらぎ たけひこ)。
「パパとママよりあたしの方が大変ですよ・・・。」
「あは、そうかもねぇ。」
そんな話をしながら、あたし達は中に入っていった。
長い廊下を歩きながらあたしはため息をついた。
なんでこんな事に・・・
リビングに着くと、いつもどうりソファーの端っこに座った。
あたしは昔から、この席が大好き。
なんか隅っこが落ち着く――――。
「今ねぇ、健買い物行ってるから、そろそろ帰ってくると思うわ。」
美香ちゃんママはコーヒーを淹れながら話しかけてきた。
てか、健に会いたくて来たわけじゃないし・・・・。