泡夏
「美月、あなたどうしたの?」
母が部屋に入ってきた。
「なんでもない」
身体を起こしながら行った。
「そうそう、実は
おばあちゃんがあなたに新しい浴衣を作ったのよ」
そう言って、紺の下地に紅い金魚が泳いでいる、
浴衣を差し出した。
「今日おばあちゃん来たんだ」
うちのおばあちゃんと母はとても仲が良いので、
おばちゃんは週に二回は必ずうちに来る。
それは良い事だけど、
他人に話すと、珍しいねってよく言われる。
世間では
姑バトル嫁
っていう構図がなりたっているからだろう。