泡夏
貴樹先輩の帰りを待つという、明菜をおいて私は
校舎をでた。



明菜は前から貴樹先輩のことが好きで、
今度の夏祭りに誘う気らしい。




グランドを見ると、貴樹先輩がふりかぶって、ボールを投げようとしていた。

髪の毛にたまっていた汗が風に
はじけとんで、白いボールがグローブに吸い込まれていった。


「ストライク」

私だけに聞こえるよう、つぶやいた。


私はさっきまで私がいた窓を少し見てから、うつむいて帰った。




















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