泡夏


「あのね、美月。

お母さんとお父さんの馴れ初めは知ってる?」

私は首を振った。


「お父さんからのナンパよ」

「ええ!?」

私は振り返った。

ものすごい勢いで振り返ったものだから少々首が痛い。


「あれはお母さんがまだ23歳のときだったわね。

友達と映画行ったときに友達がトイレに行っている間に声かけられたわ。

しかもお父さんたら「ぼぼぼくとお茶しまへんか」って、緊張しまくりがバレバレの様子で声をかけて来たのよ」


お、お父さんっ

いじん情けなすぎっ



「でもお母さんはその姿に

あ、彼可愛くていいかも、って思っちゃったのよね。


ほら、お母さん美人じゃない?

だから今までに声をかけられることも多かったんだけど、
お父さんのように初々しいのは初めてだったの。

今考えると
そこにクラッとさせられたわね」







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