泡夏
「今日は月が綺麗だね」

ふいに貴樹先輩が空を見上げてそう呟いた。

私もつられて空を見た。


「ホント、綺麗」

満月の月に切れ切れとした雲が浮かんでいた。

月があんまりにも明るいので星がよく見えず、

真っ黒な絵の具の上に一点の黄色と白をぐっちゃに混ぜた色がのかっていた。


「せんぱぁ~い

遅れてすいませんでしたぁ」


二人の時間を壊したのは
明菜の声だった。









< 39 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop