泡夏
彼方と争って、美月のために何かとってやろうかとも思ったが、ふと今が二人きりになれるチャンスだと思い直し、とどまった。
しばらく続く無言。
無言の間、俺は必死にあの男について、どう切り出そうか悩んでいた。
「あ、あのさ。美月ちゃんってさ、付き合ってる人がいるの?」
言ってから後悔した。
しまった、これでは直球すぎる。
「え、いないですよ。そもそも男友達がいないですもん。
仲がいい男っていったら、従兄妹しかいないです。
それも、かなり年が離れてるので、ホントのお兄ちゃんみたいな感覚ですね」
それを聞いて俺は心で歓喜を上げた。
こうもあっさり話してくれるとは思わなかったのだ。
「それより、先輩こそこんなにもモテるのに、彼女の噂がまったくしないのは何故ですか?」