泡夏
「まぁね」
俺は得意げに答えてみせる。
横にいる美月が戸惑っているのがうかがえたが、それには気付かないフリをした。
「ちっくしょう!!」
俺は既にボロボロに破けたポイを投げ捨てた。
横で金魚をすくっていた美月がそんな俺を見て目を丸くした。
「どうしたんでか?」
俺は金魚が一匹も取れないんだよ、なんてかっこ悪いことはいえず、黙ってると美月は理由を察したようで
「大丈夫です。私、結構金魚とれたんで、先輩の分のありますよ」
笑顔でそう言う美月。
違うって、金魚が欲しい訳じゃなく、カッコいいところを見せたかったんだって。
俺はガックシ肩を落とした。