泡夏
しばらくの間、俺達は抱き合ったままでいた。
最高の一時を少しでも長く引き伸ばしていたいから。
紺色の空には次々と花火が打ち上げられる。
そんな訳はないのだが、それが俺達を祝福してるかのようだった。
俺は抱きしめている美月をそっと呼んだ。
おずおずとあがる桃色に染まった顔。
俺はそっと、彼女の唇に俺のをかさねた。
瞬間、香る檸檬の匂い。
「檸檬味がする」
長い口付けの後、彼女はほうけた様にもらした。