泡夏
夜明け
私は息をのみこんだ。
そんな私を明菜は見ると、きびすを返し、階段を下りていった。
それを震えながら見つめていた私を貴樹が後ろから抱きしめた。
「大丈夫。俺がいるから」
そう、もう今までの私じゃないんだから逃げちゃだめだ。
サァーーーと吹いた夜風が回りの草木を揺らした。
夏の夜は涼しく、だけれども、背中にいる彼の熱が私の身体を熱くさせた。