泡夏
そのまま目を閉じてると、携帯が鳴った。
「もしもし俺」
「誰ですか?オレオレ詐欺ならけっこうです。お金も振り込みません」
「貴樹です!」
「あはは、冗談です。分かってます」
ホントに焦ったような彼の声に私は笑った。
「今美月の家の前にいるんだけど会えるかな?」
「え!?」
私はカーテンから自分の顔だけ窓の外に出した。
下を見ると、彼がケータイを耳に当てながら、こっちを見上げていた。
私は慌てて服を着て、外に出た。