†Orion†〜Nao's Story〜
0.“お父さん”
「なぁ、奈緒。もう一回……いいだろ?」
「……は? また? いいかげんにしてよ」
うんざりして、ツンとそっぽを向いたあたし。
けれど目の前の男は、懇願するかのように、また、言う。
「頼むから。な? あと一回だけ」
「…………」
もうこれで何回目だろう。
しかも、連続。
この男、バカじゃないの?
でも、あと一回で終わらせてくれるんなら……まぁ、いいか。
あたしは男のほうを向き直り、深呼吸をひとつしてから口を開いた。