†Orion†〜Nao's Story〜
「――本当の父親でもないくせに偉そうなこと言わないでよ」
「……奈緒……っ……」
「あたしが誰を好きで、誰と付き合おうと、あんたには関係ないでしょう? 赤の他人なんだから!!」
言っては、いけないことだと分かっていた。
先輩に関する噂の真相がどうであれ、お父さんがあたしを心配していることも分かっていた。
もちろん。
一滴たりとも血の繋がらないお父さんが、“本当の父親”になるために頑張っていることも分かっていた。
「……そうだな。確かに俺は赤の他人だけど……、でも、奈緒もさくらも、自分の娘だと思っているから」
力なく呟いたお父さんの言葉に、心が音を立てて崩れた。