†Orion†〜Nao's Story〜
6.そして、現実を知る
翌朝。
あたしが起きたとき、お父さんはもう出勤した後だった。
あんなに酷いことを言ったのに、いつものようにあたしのお弁当を作ってくれていた。
「あ、奈緒。牛乳ちゃんと飲んでいきなさい」
「はぁい」
いつもと変わりないお母さん。
……お父さん、きっと昨日のこと話していないんだ。
お母さんの耳に入っていたら、こんなに穏やかな朝を送れるはずがない。
あたしは、昨日のできごとを親友でもある亜里沙に打ち明けることができなかった。
親友なら、自分の弱いところや醜いところをさらけ出せるはずなのに。
相手が森谷なだけに、昨日のことを知ったら亜里沙から軽蔑されそうで怖かった。
「行ってらっしゃーい!」
昼休み。
いつものように教室を出て行くあたしを、亜里沙は上機嫌で見送る。