†Orion†〜Nao's Story〜
きょとんとしているあたしに、森谷は自分の手に渡されたiPodを眺めながら口を開く。
「俺がコレ持ってくるようになった理由、知ってる?」
「……騒音防止。あたしのお喋りがうるさいからでしょ」
……って、それは前にも、あんた自身が嫌味たっぷりにあたしに言ったことでしょうが。
いちいち確認する必要なくない!?
「あぁ。おまえの喋る声がうるさいからだよ」
「……じゃあ、まだまだ必要でしょ。あたしはあんたに気を遣うつもりなんて全くないし」
「……それがなぁ……、必要なくなったんだよ」
「……は??」
iPodから目を外した森谷は、あたしを見てニッと笑う。