†Orion†〜Nao's Story〜


「………」



本気で考え込んでいると、森谷は肩に下げたスポーツバッグを机の上に置き、中から濃紺のタオルを取り出した。



「……え、ちょっと!」



無言のまま、森谷はタオルをあたしの頭から被せて、完全に顔が見えないようにした。


……これってなに?

今から答えを言うから、泣いてもいいですよって意味?



「いっつも楽しそうに話してただろ?」



あたしは薄暗くなったタオルの中で、森谷の解答に耳を傾ける。



「長谷川先輩のこと――……」



あ――………


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